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「6月」各地の山開きが終わると、九州の山々は一段と陽射しが強まり樹木の新芽が一斉に萌え出して、早くも初夏を思わせる陽気になってくる。登山者には辛い季節の始まりだが、一番体力がつくのもこの夏山なのでクーラーの傍を離れて良い汗をかいてみよう。 大分自動車道を甘木インターで下りてそのまま直進、突き当たりを左折して甘木鉄道の駅前を右折し、国道386号線を横切って直進すると、約20分で秋月に着く。そのまま町の中を突っ切って道が登りになった辺りに、幾つかの案内板や自然歩道の看板が現れる。 登山口はカジカで有名な「本覚寺」の横を渓流に沿って登るコース、車でもう少し上がって「潭空庵」からキャンプ場を抜けて行くコース、さらに嘉穂町方面へ3キロ程走って「古処林道」へと右折し林道の終点駐車場に至るコース、この3本の道はすべてこの駐車場で合流する。ここから山頂までは約40分の距離である。 また、「古処林道」には入らずに、カーブの多い山道をさらに車で3キロ走った辺りで、道の右側を注意して行くと「古処山登山口」の小さな板切れがある。標高510mの八丁越登山口である。ここから右折して林道を2分で分岐点があり、右へと進めば小さな広場でこの道は終わる。ここから北東の斜面を登れば、約40分で、野仏に囲まれた山城跡の広場を経て山頂に至る。晴れた日の眺望は、四囲に亘り素晴らしい。 時間と足に余裕があれば、縦走路を「屏山」まで歩いて見よう。ここからの尾根道は、樹木が立ち並ぶ木陰の道である。爽やかな風を全身で受けながらの40分は、まさに肌で感じる夏山の醍醐味であろう。標高926mの屏山山頂も眺望が美しい。この縦走路はさらに、宇土浦越、馬見山を経て小石原へと続いているが、下山後の交通手段を思えばここから引き返すのが賢明である。再び「古処山」へ向かって30分程歩くと、左(南)へと道が別れている。この道は、樹齢数百年と言われる「ツゲ」の原生林の中を行く素晴らしい道で、是非とも通って欲しいポイントでもある。道は15分で山頂直下の登山道に合流する。 古処山城を拠点として、豊臣秀吉と闘った室町時代の武将秋月長門守種実は、戦に敗れて頭を丸め僧の姿となり、斬首を覚悟で秀吉の前に進んだが、秀吉は禄高36万石を3万石に減じてその命を助けたと言う。この後、種実は一統を引き連れ、日向の国(宮崎)へと落ち延びて行ったのであるが、この逃避行には様々な悲話が語り継がれている。 さて古処山には「古処ギツネに騙されるな」と言う話があるのをご存じだろうか?登山者が山道で出逢った美しい女性に道を尋ねると、彼女は親切に教えてくれるのだが、幾ら歩いても人里には出られず結局迷子になって彷徨い歩く。と言う民話だが不思議なことに現在でもこれに似た体験をする人が多い。「くれぐれも女性にはご用心」と言う警戒信号か? 歴史上の史実に思いを馳せ、キツネの話に頬をゆるめながら、潭空庵名物の「トコロテン」をすするうちに汗も引き、渓流のざわめきが一際高まり、山の夕暮れが音もなく忍び寄ってくる。 |
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